ものづくり補助金とは?申請の流れや注意点まで詳しく解説

中小企業や小規模事業主を対象とした補助金の1つに、「ものづくり補助金」があります。

革新的な製品サービス開発や省電力化を目的とした設備投資に利用できる制度ですが、具体的にどのように活用できる補助金なのか、わかりにくい点も多いでしょう。

今回は補助金を使った設備投資を検討している経営者の方へ、ものづくり補助金の概要や申請の流れ、注意点を詳しく解説いたします。なお本記事では、最新の公募である18次締切(令和6年3月11日申請開始)の内容で解説します。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金とは、中小企業や小規模事業主を対象とした補助金、正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。
サービスや生産プロセスの改善をはじめ、新製品開発に必要な設備投資などが対象となっています。

これまでに使用された例としては、新商品開発のための設備導入や、最近では、最新式機械導入による省力化にも使用されました。

ものづくり補助金は、現在17次公募・18次公募の2回実施が発表されており、それ以降の実施については公表されていません。

締切回ごとに公募要領の内容が異なるため、必ず各回の公募要領を確認したうえで、申請手続きを行ってください。
はじめに、18次締切の公募要領で対象となる事業と、申請の流れから解説します。

ものづくり補助金の補助対象者

ものづくり補助金は、業種ごとに企業規模の上限が定められています。

たとえば製造業や建設業などは、資本金3億円・常勤従業員数300人が上限。

小規模企業者・小規模事業者では、製造業をはじめ宿泊業・娯楽業で20人以下の会社及び個人事業主が対象。商業・サービス業では、5人以下の会社及び個人事業主が対象です。

ものづくり補助金の申請から請求までの流れ

ものづくり補助金の申請から請求までの流れは、以下の通りです。第18次公募を例に見てみましょう。

手順審査・検査の詳細日程(例:第18次公募)
①事前準備  
②公募開始 2024年1月31日(水)公表
③申請受付 2024年3月11日(月)受付開始
2024年3月27日(水)申込締切
④審査書面審査
口頭審査
審査委員会
 
⑤補助金交付候補者決定 2024年6月下旬頃予定
⑥補助事業実施期間事業実施
中間検査
実績報告
※実績報告は2024年12月10日まで(厳守)  
⑦確定検査(交付額の決定)  
⑧補助金の請求 2025年1月31日まで(厳守)
⑨補助金の支払  
⑩事業化状況報告  知的財産権報告 3~5年の事業計画期間&5年間のフォローアップ
※毎年4月に依頼
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業公募要領(18次締切分)

申請時に提出する「事業計画書」をもとに、書面や口頭での審査が行われ、補助金交付候補者を決定します。この候補に選ばれることが、「採択」です。

その後、補助事業実施期間中の中間報告や実績報告を経て、確定検査で交付額が正式決定。

正式決定した交付額を申請者が請求後に、補助金が支払われる流れになっています。

ものづくり補助金の3つの申請枠

ものづくり補助金の申請枠は、以下の3つです。

  • 省力化(オーダーメイド)枠
  • 製品・サービス高付加価値化枠
  • グローバル枠

それぞれの特徴を解説します。

省力化(オーダーメイド)枠

省力化(オーダーメイド)枠は、人手不足の解消をはじめ、生産性やサービス提供の効率化・高度化のために、必要な設備やシステムへの投資を支援するものです。

補助金額と補助率の内訳は、以下の通りです。

【補助金額】

従業員数補助金額
5人以下100万円~750万円
6~20人100万円~1,500万円
21~50人100万円~3,000万円
51~99人100万円~5,000万円
100人以上100万円~8,000万円

【補助率】

補助金額が1,500万円まで1,500万円を超える部分
中小企業1/21/3
小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/31/3

省力化(オーダーメイド)枠の対象になるのは、事業者の業務に応じて「専用設計」された機械装置やロボットシステムです。

通常の機械装置を導入するだけでは補助の対象にならないため、注意してください。

製品・サービス高付加価値化枠

製品・サービス高付加価値化枠は、次の2つの類型にわかれます。

  • 通常類型
  • 成長分野進出類型(DX・GX)

通常類型は、革新的な製品やサービス開発に取り組むために必要な設備や、システムへの投資を支援するもの。

今後成長が見込まれるDX・GXなどの分野において、必要な設備やシステムへの投資を支援するのが、成長分野進出類型(DX・GX)です。

なお、DXは「デジタルトランスフォーメーション」の略称で、ITやデジタル技術の活用によって、企業の競争力を高めること。

GXは「グリーントランスフォーメーション」の略称で、温室効果ガスの排出量を減らし、脱炭素社会の達成を目指す社会の仕組みの変革をあらわします。

それぞれの補助金額と補助率は、以下の通りです。

【補助金額】

通常類型従業員数5人以下:100万円~750万円
6~20人:100万円~1,000万円
21人以上:100万円~1,250万円
成長分野進出類型
(DX・GX)
従業員数5人以下:100万円~1,000万円
6~20人:100万円~1,500万円
21人以上:100万円~2,500万円

【補助率】

企業規模通常類型成長分野進出類型(DX・GX)
中小企業1/22/3
小規模企業者・小規模事業者・再生事業者2/32/3
新型コロナ回復加速化特例2/3

補助金を申請するには、3~5年の事業計画期間内に、新製品・サービスの売上高の合計が全体の10%になるような、事業計画を策定しなければなりません。

適切な事業計画を策定するには、専門家からアドバイスを受けるのがおすすめです。

特に日頃取引をしている信用金庫なら、これまでの売上推移や資金状況、今後の課題など細かな改善点も含めた事業計画へのアドバイスが受けられます。

グローバル枠

グローバル枠では、海外市場の開拓や、海外企業と共同で行う事業などを実施し、国内の生産性を高めるために必要な設備・システムに対しての支援を行います。

補助の上限額と補助率は、以下のとおりです。

補助上限額補助率
3,000万円以内(※4,000万円以内) ※大幅な賃上げに取り組む事業者 補助上限引き上げ1/2以内 ※小規模企業者、小規模事業者は2/3以内

国外との取り引きも視野に入れている事業者にとっては、事業拡大のきっかけとしてぜひ検討したい制度です。

ものづくり補助金の導入事例

経済産業省と中小企業庁が運営する、中小企業向けの補助金・総合支援サイト「ミラサポplus」では、ものづくり補助金を活用した設備投資などの事例を掲載しています。

たとえば高知県の養鶏農場では、オリジナル商品である生卵を原材料にした「焼き菓子」の製造に力を入れ、ものづくり補助金を利用して設備投資をしました。

補助事業を利用した設備投資の効果で、現在は関西・中部・首都圏など広範囲への販路拡大に成功しています。

参考:経済産業省・中小企業庁「ミラサポplus | 補助金の申請事例・ものづくり補助金④~オリジナル卵「ゆずたま」の焼き菓子で、販路を拡大~」

ものづくり補助金の注意点

ものづくり補助金の申請について、3つの注意点を解説します。

「事前計画書」の提出が必要

補助金の申請には、給与支給額の増加や最低賃金の引き上げ。さらに付加価値額の平均成長率3%以上の増加などを満たす、3~5年の事業計画の策定が必要です。

特に小規模事業者は、日常のルーティン業務をこなしながら事業計画を策定しなくてはならないため、負担も大きく、一般的に30~50時間はかかると言われています。

仕事をこなしながら申請への準備を進めるためにも、早い段階からの専門家への相談がおすすめです。

受付は「電子申請」のみ

ものづくり補助金の受付は電子申請のみとなっており、申請には「GビズIDプライムアカウント」の取得が必須です。

IDの新規取得には、2週間ほどかかるケースもあるため、早めの手続きをおすすめします。

「採択=補助金の支給決定」ではない

補助金が採択されたからといって、補助金の支給が決定されたわけではありません。
採択されてから計画通りに事業を行い、期限内の設備を導入し実績報告書を提出してようやく補助金の請求ができます。

たとえば無事に採択されても、何らかの原因で設備の設置が遅れれば、適切な事業報告書を提出できません。
なお、ものづくり補助金の公募要領では、過去の補助事業実績報告書を未提出の場合は、再度の申請が不可となっています。

実際に設備を導入し報告書を提出するまで、綿密なスケジュール管理が大切です。

ものづくり補助金の公募期間と申請スケジュール

現在公表されているものづくり補助金のスケジュールは、以下の通りです。

【18次締切】

公募開始日令和6年1月31日(水)17時
申請開始日令和6年3月11日(月)17時
申請締切日令和6年3月27日(水)17時

過去には年4回の公募が行われていたものづくり補助金ですが、2024年2月現在では18次締切の情報が最新です。

中小企業庁は、令和6年2月に「新制度による公募は、令和5年度補正予算を基に17次公募・18次公募の2回」と発表しました。

今後のものづくり補助金の動向については公表されていませんが、少なくとも2024年度の公募は今回で終了すると考えられます。ものづくり補助金の利用をご希望の方は、早めに申請準備を進めましょう。

参考:中小企業庁「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金について(令和6年2月)」

ものづくり補助金の申請は大分みらい信用金庫へご相談ください

ものづくり補助金の申請には、事業計画書の提出が不可欠なうえに、採択後もスケジュールに沿った設備導入や事業報告書を提出しなくてはなりません。

計画通りに申請や諸手続きを済ませるには、頼れる経営相談のパートナーが必要です。

大分県でものづくり補助金の申請を検討中の方は、ぜひ大分みらい信用金庫へご相談ください。補助金の申請だけでなく、各種経営課題についても、地元金融機関の強みを活かしたご提案をいたします。

以下のエリア内でご相談を承っています。ぜひ一度ご相談ください。

【対応エリア】
別府市、大分市、由布市、杵築市、中津市、宇佐市、豊後高田市、速見郡

※信用金庫は地域密着型の金融機関のため、補助金・助成金のご相談をお受けできるエリアが限られております。ご了承ください。

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